チャンチキのコンセプト

私は自分の音楽のルーツに日本民謡があると信じている。母国に対する愛情であり、生まれた事への感謝である。大きく解釈すれば、母なる大地・生まれた星であり、小さくすれば生まれた街・そして自分自身。自分の価値を他を否定する事で持つのではなく、自分が存在する環境に感激を感じると言う事。

民謡と言う音楽文化は、人の手によって作られたものでは無いところに定義付けをし たい。民謡と言う文化自体が、力を持っている。そこには、演る側と、聞く側という壁がな いはず。手拍子打って、太鼓叩いて、三味線持って、皆で謡う。「作られたムーブメントではなく、ムーブメント自体が誕生する」のだ。ここに意味と、思いがある。何代か前の祖先、日本人が生まれてからの音楽文化を、私はミュージシャンとして音楽として表現する。その舞台に民族楽団チャンチキを作った。

民謡・・・。
このジャンルの音楽文化には現在必要で無いものが大半であると思う。作業唄、恋歌、教訓唄。漁に出て共同力作業で網を巻き上げる必要は無く、恋愛もそれ程閉鎖的でも無く。歌詞によってそのシチュエーションを頭に浮かべるのに時間と言う壁が存在する。民謡に出てくる歌詞の時代には到底、私は生きておらず頭に浮かんでもそれは以前与えられた間接的な情報だ。しかし、生まれたムーブメントは、ミュージシャンとして日本人として、生きる私に様々な事を教えてくれる。良い意味でこの音楽文化には国境がある。日本から生まれたムーブメントが、教えてくれる。島国日本はアジアの中でも生きている幸せを感じ難い国だと思う事があ る。海に守られているのか・・・。自分が生かされている感激を教えてもらう為、日本民謡にルーツがあると信じる。

たなかつとむ